2010/09/07

残暑

自分でアルバムを作ろうと決めたのは、
これまでの自分の人生をまとめたいと思ったからだった。
次の誕生日までに、22年余りの人生をまとめて、形にしてみたいな、
生きてきた結果を聴いてみたいなと思った。
理由を 知りたいと… 作りたいと思った。


ヒマラヤ山脈みたいな形した重い重いチョコレートケーキを抱えて、
obscure最後のスタジオに入ったのは5か月前。
ホールの真ん中に、ホワイトチョコレートで器用に描かれているのは『祝・解散』の文字。
ちょっと忘れられないくらい甘い。


裏の裏を読んで欲しい。
裏の裏の、その裏を。


私は結局、新しい選択をしたその上でも、
ziziのギターでなければ嫌だった。
絶対にziziでなければ嫌だった。
ziziに自分の新曲を送りつけたのは、解散ライブから4日後のこと。
「こういう音楽がやりたいと思ってる。興味がもてたならギターを弾いて欲しい。」
私は繊細でありながら極上に厚かましい女でもあった。
プライドがないことが強みだ。
「いいね!ギター録ってみる。」
そんな返事をもらえたことで、また燈った情熱。


先週
私が体調壊してベッドでぶっ潰れている間にもギターレコーディングは進んで、
せっせと ziziちゃん進めてくれて
昨日
久々にパソコンを開いたら、
ちょっと今までとは比較にならないギターが届いていた。
聴いた事がない音。
毎日天井を見つめながら感じていた不安が
いちめん希望になるような。
そういえば前からそういう人だった。


ばったんQしている間、ziziだけでなく、
RECに参加してくれたゲストプレーヤーの人達が次々にメールをくださった。
ほとんどが最初、ろくに話したこともなくて
ただ音に言い知れぬ魅力を感じて声をかけた皆だったけど、
知らず知らず 優しい人を選んでいたんだなぁ。
音の先の人格を感じていたんだと思う。そこから惹かれていたようだ。
仲良くなれてよかった。



私は、自分以外の楽器は誰でもいいからとにかく歌えればいいなんて絶対思わない。
積極的に気持ちがない人に無理に弾いてくれとは死んでも思わないし頼まない。
私の音楽は思いだから!
さしてやりたいと思わない人に自分の曲を弾かれたくない。
『曲を聴いて、いいと思ったら弾いていただきたいです。
いまいちだったら遠慮なく断ってください』
偉そうだが当たり前の話。
あれから全部そうやってやってきた。
どうなることかと思ったけれど、おかげさまでここまで来れた。
もうじき歌以外全部録り終わる。


CDなんて今どき売れないけど、
自分がほしいから作る。
生きてる間出会った、出会う、すばらしい人達に手渡したいから作る。
そうして死ぬとき一緒に燃やせるように作る。
それだけ。
抱きかかえられるモノであることは
触れるモノであることは重要だと思ってる。
自分にとって、棚に並んでいるだけで心落ち着く本やCDがあるように、
手をのばしたらそこにあるものが作りたい。
お茶をこぼしても、濡らしても大切にしている歌詞カードとか、
傷だらけになってヒビが入っても大事にしているケースとか、
開ける度にキレイ!って思ってそっと持ち上げる盤があるから。


生かされたいと思って音楽を聴くときはいつも部屋で一人だったから。
CDにこだわる。


読んでくれてありがとう!